2021年11月18日木曜日

「1時間天気を司る方」

  私がほぼ毎日見るサイトに「1時間天気」があります。特に地域を指定しなければ住居のある地区の天気を1時間単位で示してくれ、とても重宝しています。午後3時までは曇りマークだが、4時から畳んだ傘や開いた傘のマークなら「用事はその前に済まさなければ」と計画できて、大変助かります。上記のケースで本当に4時から雨がポツポツと振り出した時など、その的中率の高さに驚いたものです。科学技術が進んで天候を決定するあらゆる情報が手に入るようになり、これまでの何十年ものデータや経験知を駆使して予想できるようになったのなら、このようなことは当たり前なのかもしれません。

 「中途視覚障碍者の復職を考える会」から始まったタートルというNPO法人が今年40周年を迎えました。その名の通り、人生の途中で思いもかけない視覚障害に見舞われた人々が苦悩の末に辿り着く場所で、ゆっくりでも着実に進む姿を団体名に託したのでしょう。一介の相談者のために、全盲の会長ほか眼科医、リハビリの訓練士、元厚労省官僚というプロ集団が終業後の疲れた体で相談会を開いてくれるような、文字通り通常あり得ない有難い存在です。この方々は自分には何の得もないにもかかわらず、相談者の話を聞き、状況を見極め、助言し、サポートするというしんどい務めを淡々とこなし、そのおかげで職場復帰や社会復帰、またその後の道を見出すことができた人がどれほどいたことか。全てが「今、ここ、自分」の欲望へと収斂するばかりの世の風潮の中で、このような働きを担う方々はまさしく得難い希望です。

 人間一人一人の人生の道のりは、神様から見れば最初から最後まで全てが明らかで、1時間天気のようなものなのだと思います。思い返してみて、家族や友人・知人だけでなく、社会の中の第三者という形でも、必要な時にはいつでも必要な出会いが与えられてきたのを実感しています。これらの方々の多くは、苦境に直面せずには存在さえ知り得ないものであり、まさしく吹き抜ける涼やかな風のような出会いです。そしてまた、歳を重ねるにつれ増えてくる、様々なお別れについても、適切な時が与えられてきたのだと思わざるを得ないのです。人間的な感情としては悲しみや苦しみに満たされることがあっても、神様のなすことには全く遺漏がなく、これからも私の道行きが守られていくのだと平安の中にいます。