2021年3月4日木曜日

「紅春 173」


 寒風の中にも春の日差しがうれしい季節です。りくはよりいっそう散歩を楽しんでいます。雪があると匂いが消されてつまらなそうでしたが、今はちょっとの匂いも逃すまいと全集中で嗅いでいます。とても大事なことのようなのです。嗅覚は味覚・触覚と共にりくに残された大切な感覚なので、失わないでほしいなと願っています。

 りくが引き綱をぐいぐい引いて散歩できるのは喜ばしいのですが、それでも脚力の低下は顕著になってきました。以前は兄を迎える時、頭をつけて後ろの両足をピョンピョンと蹴り上げて跳ねていたのに、それがちょっとヨタヨタになったかと思ったら、しばらくして全く跳ねなくなりました。

 毎月のお風呂はできるだけ快適にして嫌がらないようにと努めているのですが、先日は風呂桶に入れて少し洗ったところで、「ヒ~ン」と鳴いてもう無理そうでした。前足を風呂のふちに掛けて、後ろ脚で立たせてお湯につけて洗っていたのですが、やはり脚が限界にきたのです。お湯から出して四つ足の格好のまま、急いで流して終わりにしました。

 老化現象は自分も身にしみているので、負担のない程度に脚を使って弱らないようにできたらいいなと思います。人間の場合、立っているだけでも少しは運動になるようですし、家の中にいるといつも寝てしまうりくのために、外で庭仕事する私のお相伴をさせています。あまり動き回ったりはしませんが、それなりに刺激があって飽きないようです。私は垣根の陰で見えなかったはずですが、近所の方が車で通りかかる時、わざわざ車を止めて、「りくちゃ~ん」と離れたところにいるりくに呼び掛けてくれました。りくは見えていないし、聞こえてもいないのですが、「ああ、りくはみんなに愛されているなあ」とうれしかったです。