厚生労働省クラスター対策班の計算をもとに「人との接触を8割減らす」ことが要請されていますが、これについての安倍首相の伝え方では「最低7割、極力8割、人との接触を減らしていただければ、必ず我々はこの事態を乗り越えることができる」というものでした。緊急事態宣言の期間はとりあえず1か月でしたから、これでは1か月で感染拡大が収まるかのように思われます。しかし、その後、どうも対策班の専門家から「7割とは言っていない。8割減らせれば1か月で減少に転じるが、7割では減少までに2か月以上かかる。接触者を5、6割減らす程度では感染者は減らずに水平に推移する」という趣旨の発言がなされているようなのです。どうしてこうも愚かなのだろうと怒りがこみ上げてきます。本当に1か月で効果を上げたいのなら、遠慮会釈なく明確な数字を伝えてもらわなくては困ります。毎日あっと驚くような三密の具体例が報道されていることから推測すれば、1か月さえ己の欲望を我慢できない人々が2か月以上も行動を抑制できるはずがありません。やる気が失せるような軽率な発言・政策は勘弁してほしいと思います。すでに私はへたするとこ半年、1年とこの状態が続くかもしれないと覚悟しました。
こうなってくると別の方向からの考えも頭に浮かびます。先日、地球温暖化につながるCO2濃度の増加ペースが急減しているとの報道がありました。地球全体の大気中のCO2濃度は、特に冬から春にかけては例年増加するのに、新型コロナウイルスの感染が広がった去年12月から今年3月にかけての増加ペースは、ここ数年の同じ時期に比べて半減したことが環境省などが運用する人工衛星の観測で明らかになったとのことです。専門家も新型コロナウイルスの感染拡大によって人や経済の活動が低下したことを要因の一つと考えているようですが、素人が考えてもそんなことは明らかでしょう。地球という星にとっては人間の経済活動は不要なものであり、自分に害をもたらす要因なのです。考えてみれば、疫病を流行させる以外のどんな方法で人間の経済活動を止められるでしょうか。これ以外ないという自己防衛方法を地球という生命体はとったのです。地球の身になって考えれば、「もう限界です。私はこれまで完膚なきまで傷つけられ、地球上の人口は私が養える数をとうに超えています」ということなのでしょう。地球にとって人間はろくでもないことを数限りなく行う敵なのです。今のところ、悪疫は人間の小賢しい考えなど嘲笑うかのように、猛威を振るっています。気が滅入ってきました。地球が何事かを遂行するつもりなら、成し遂げるまで止むことはないでしょう。地震や台風といった自然現象と同じです。これまで人間が自然になしてきたことを考えれば、自然が人間に配慮することはきっとないでしょう。感染症との闘いは、どのような終着点があるにせよ、途轍もなく長い持久戦になりそうです。