先日明らかになった官公庁の障害者雇用数の水増しには開いた口がふさがりませんでした。27省庁 で3460人の水増しがあったと伝えられていますが、要するにチェック機能がないのをいいことに国の役所全体に数合わせが広がっていたということです。公表では2.4%を越えていた数字は、現実には1.19%だったとのことで、この数字が2.2%を切ると、毎月一人につき4~5万円のペナルティーを科せられていた民間企業は、憤懣やるかたない思いでしょう。障害者雇用促進法ができて以来、民間企業は特例子会社を作るなどして、障害があってもできる仕事を会社全体から切り出して雇用に繋げる努力を続けてきたのに、官公庁はこれを怠ってきたからです。健康診断の結果を適当に解釈したり、自己申告で障害認定をしたり、心臓病・糖尿病などの持病のある人をカウントするなどしてまで数字合わせをしてきたのは、本当に障害者に失礼な行為でした。
どうしてこういうことが起こるのか推測してみるに、役所は法を守らなければならないことは強く認識しているものの、実際に障害のある人々がどのように働いているかをその目で見たことがなく、障害者を採用して一緒に働くことが想像できないのだと思います。私は或る会で、中途失明して全盲になりながら、国家公務員試験の点字受験の道を拓いて入省し、定年まで勤められた方を知っています。障害者の中には、一般の人には思いもよらないような本当にすごい人がいるのです。ましてやこのテクノロジーの発達した時代なのですから障害があってもできることは多く、環境を整えて採用する気さえあれば民間同様数値目標の達成はできるに違いありません。
一方、役所というものは守れる規則は徹底して守らせるという内部圧力が働くようで、集合住宅の管理組合理事長は官庁にお勤めの方ですが、「役員活動費は受け取れない」と言っています。兼業の禁止(職務専念義務違反)に抵触するとのことですが、これを聞いた時は笑ってしまいました。理事会は毎月3時間ほどの議事をし、決まったことについて活動する時間もとられますし、理事は各自必要な仕事で通信費、印刷の紙代・インク代等の費用がかかります。特に「長」となると毎月相当かかると思われ、他の集合住宅では「長」は他の理事の2倍の活動費を与えられている場合があり、それももっともなことなのです。役員活動費さえ受け取れないというのはおかしなことだと思います。もちろんわずかばかりの役員活動費を受け取ったがために後で大変なことになっては困りますから、ご本人の判断通りにしていただきますが、馬鹿げていると思うのは私だけではないでしょう。状況は知りませんが、「ヴァレンタインのチョコを受け取ったために、しょっ引かれた人もいる」とつぶやいていました。普通に聞くと、相当変な職場ではないでしょうか。それともこういうことを放っておくと歯止めがかからなくなり、収賄事件に発展すると考える人たちなのでしょうか。今回の障害者雇用促進法に関する法令違反とのギャップが大きすぎ、まったく理解に窮します。