集合住宅の管理組合理事会で来年の総会で上程する設備改修の施工業者がやっと決まり、ここ半年くらいの懸案が一つ片付きました。因縁のと言うのは、すでに3年前にこの件は当時の理事会で総会に上程されるところだったのですが、居住者の大反対で取りやめになったことがあるからなのです。長期修繕計画によればその設備の更新までにはあと1年あったのですが、たまたま管理会社からかなりの値引きが受けられるとして、当時の理事会がは改修を決断したという話を聞きました。私はたまたま長期修繕計画を見直す年に理事をしていたからわかったのですが、普段毎月の議事に追いまくられていると来年どんな大規模工事の年に当たっているか全く念頭になく、総会前の理事会で巨額の費用のかかる設備更新を、検討する時間もないまま上程しなければならないことに気づくのです。3年前はそれが住民生活に密接にかかわる機器だったため、全く知らされていなかった居住者から猛反対が沸き上がったのでした。
今年の総会でこの件について、「継続審議として1年かけて検討する」と宣言した以上、きちんとやらなければと決意していました。なにしろ管理会社が今期当初に提示した額は1千数百万円という額で、これは組合員が毎月積み立てている修繕積立金から支払われるのですから責任重大です。しかしこの設備は家庭用品ではないので相場がわからない、どうやって施工業者にたどりつけばいいのかもわからない、というわけで、かつて大規模修繕に関わった委員の方々の協力も受けながら、2大メーカーの方々のお話をそれぞれお聞きし、その特約店およびネットで探した優良企業、そして管理会社を通して住宅系建設会社の4社から見積書を取りました。書いてみると一文ですが、ひとつひとつが企業と理事会メンバーとの何通ものメールあるいは電話のやりとりから成り立っており、大変根気のいる仕事でした。現場調査の日程調整や打ち合わせはやる気があれば誰にでもできるものですが、きちんとした依頼書や仕様書送付というそれなりに経験を要する手続きもあり、今回は書ける方がいたからよかったようなものの、ずぶの素人集団であれば無理だったかも…と今になって思います。見積書一つにしても、或る項目についての必要の有無をそれぞれの施工業者が独自に判断して書いていることが判明し、依頼書の再送付があったりと、いろいろありました。この件については一瞬青ざめ焦りましたが、同一条件で見積比較をしなければ意味はないので、すんでのところで気づけて失敗を食い止められたことに胸をなでおろしました。メールのやり取りは8月だけでCCも含め優に100件を超え、この仕事全体では何件あったのか見当もつきません。
いずれにせよ先日、理事会の総意として施工業者が決まり一段落です。気が張っていたせいかどっと疲れてしばらく寝込みましたがほっとしました。当初管理会社が提示していた額より六百万円以上削減することができました。これは今期の理事会の功績と言ってよいでしょう。最終的な見積書では管理会社系施工業者から提出されたものも相当お値打ち品価格になっていましたので、それでも契約がとれなかったことに驚いたかもしれません。しかもこれは安かろう悪かろうではないのです。契約後の発注にあたって受注生産であることを示す出荷証明書を頂く確認もできており、これをもって履行が確実な証憑とすることとができます。実際の工事は来年の総会を経て、私の理事在任期間が明けた後ですが、今期はすでに2回設備更新に関するお知らせの文書を出しているし、あとは居住者説明会をすれば大仕事は終了です。平穏な生活が戻るまであと少しです。