職場以外の場で他の人と仕事をすることの難しさについて考えています。職場では他人と共にする仕事の難しさを感じなかったというわけではありませんが、職場の場合はおのずとルールがあるし、お互い相手を知っているので対処のしようもあるのです。それ以外の雑多な人々と何かのプロジェクトを進めるときは、それが容易なものになるか困難なものになるかは構成要因の人格によると言ってよいでしょう。相手が常識のある気持ちの良い人であれば仕事自体は大変でもつまらなくても全く苦にはなりません。逆に、相手が非常識な自分本位の人の場合、職場であれば存在する規範が働かないのですから、これほどしんどい仕事はないでしょう。だいたいはこの中間で事が進んでいくはずです。
職場であろうとその他の共同体であろうと、その会合や作業を成り立たせるのは相手あるいは相手の仕事に対する敬意です。誰もが自分では一番よいと思う仕事をしようとするのは当然ですが、人の考え方はそれぞれですから、一から十まで一致するというようなことは普通は起きません。方向性が間違っているのでなければ、7~8割がた合っていたらよいとすべきです。寛容さが必要なのです。往々にして特に能力のある人が自分の意見を通そうとしてルールを無視したり、明白なあるいは暗黙の規定を踏み越えたりすることがありますが、こういうことは厳に慎まなければなりません。わずかな差にこだわって協調的な場を壊すことよりも、大事なことがあるからです。それよりも相手の仕事に敬意を払って、さらにパフォーマンスをあげることの方がその共同体にとってどれほど有益かわかりません。長年生徒を扱ってきた経験から、こちらが敬意をもって接すれば相手はどこまでも応えてくれ、持てる力を最大限に発揮することは確信を持って言えます。時には持って生まれた力以上のものさえ発揮されます。これは大人でも同じでしょう。悲しいことに、居丈高に出れば相手が自分の思い通りになると勘違いしている大人がいますが、これは逆効果。内部の人だけの問題ならまだ我慢できますが、外部の方に対して失礼な対応があると、さすがに腹に据えかねます。ととはいえ、大人に説教するわけにもいかないしねえ。