暑い夏は少し離れたところにある図書館に通っています。持ち込みのパソコンを使ってもよい席があり、落ち着いて過ごせるからです。しかし、さすがに電源はないので、バッテリーの関係でパソコンを2台持って行きます。一台は相棒ともいえる使い慣れた薄型ノートパソコン(これなしにはもはや何一つできない)、もう一台は予備のタブレットです。二つ持ってもそうかさばらず重くもない、現代のテクノロジーの成果をありがたく味わっていますが、周辺機器は必要です。ノートの方は本体にキーボードがあるのでマウスだけ持って行けばよいのですが、タブレットに関しては思案のしどころです。
パソコンの周辺機器は一見微妙だがそれなりに大きな進化を遂げているようで、工夫された製品が出ているのがわかるとつい試したくなります。マウスはとても小型化し、しかも線が巻き取り式になった製品があり、なかなか便利です。リールを引っ張りすぎると戻らなくなって苦労しますが、手荒に扱わなければ、持ち運びやすく十分役立ってくれます。
音声パソコンを扱う身にとってマウス以上に重要なのはキーボードです。どうしたわけか、いつごろからか最初のログインに必要な画面上のキーボードが現れなくなり、それがないとそもそも使い始めることができません。だからキーボードは必需品ですが、そうでなくてもとてもタッチキーボードで入力する気にはならないので、これはとても大事な機器です。大きさ以外にキーの配列やキータッチ、接続方法等、様々なバリエーションがあり、調べるといくつも試したいものが出てきます。まず、小型でキーの深い押し心地のものを試し、「ああ、昔のデスクトップのキーボードはみんなこうだったな」と懐かしく思いましたが、カシャカシャ音がすごくて図書館ではとても使えない。次にそれよりやや小型の浅くて静かなキーボードが目につき、名のあるメーカーだったので試してみたらとても良い製品でした。
一度に使えるキーボードは一つだけですから、もうこれに決めて使えばよかったのです。ところが、キーボードを巡る探求はこれで終わりませんでした。調べるうち初めて知ったのはUSBではなくBluetoothで接続するキーボードです。これまでケーブルで接続されていないマウスを見て、てっきり家の中の無線ランを利用しているのかと思っていたのですが、そうではなかったのです。つまり、パソコン側とマウスやキーボード側の双方にその機能が搭載されているなら、外に持ち出してケーブルなしで使える仕組みがあったのです。こういうことを知らずにいたので自分の場合も使えるだろうかと半信半疑で試してみました。A5版くらいの大きさのおもちゃのような超薄型キーボードで、ちゃんと機能したのでとても愉快な気分でした。タブレットのUSB端子は1つしかないので、これまでは別に4つ口の端子をつけて使っていたのです。それは見た目も煩雑で重そうな感じでしたが、今度はマウスとUSBメモリだけでよい、本当にすっきりしました。そして気づいたのです。キーボードにタッチパッドがついていればマウスもなしで最低限のことはできるということに。するとありました! B5版を少し小さくしたくらいの大きさで超薄型のキーボードが! 先ほどのおもちゃのようなキーボードは、小さいスペースにキーを押し込めたせいか、はたまた日本語仕様の製品でないせいか、日本語文章入力で頻繁に使う記号がすぐ出ないという不都合がありましたが、今回のものはほぼ支障なく使えます。図書館で間に合わせに使うには十分です。新しい製品を試してみるのはとてもわくわくする作業でした。というわけで、家にはパソコンの周辺機器が増えてしまいましたが、場所や状況に合わせてその時その時一番使いやすいものを使えばいいので、便利の選択肢が増えました。こんなに快適になっていいのだろうかという、一抹の後ろめたさはありますが、もう戻れないだろうという気がします。