昨年の夏から結構本気で旧約聖書を読み出し、耳で聞いただけではすり抜けてしまうことを書きとめる、調べる等を繰り返すうち、自分の中でまとまってくるお話がありました。消えないうちにと書き始め、大げさに言うと寝食忘れて二週間で最初の稿ができ、ふうっと脱力。あまり簡単に書けたので自分で書いている気がしないほどでした。創作という活動はもともと自分の楽しみのためのものであり、自分にとってだけ面白ければよいというのが常々私の持論ですが、この時も出来栄えに結構満足し、それで終わってよかったし、終わりにしたつもりでした。
しかしその後も旧約聖書を読んでいると、さらにわかってくることが急激に増え、自分の理解を書きとめる必要がでてきました。せっかくなので出来上がっていた作品にわかったことをどんどん盛り込んでいくことにしました。これは全く地道な作業で、フィクションを書いた時のようにすいすいとは進みませんでしたが、この過程で発見することは多く、口語訳と新共同訳の比較から思わぬことに気づいたり、各書のつながりが見えたりして別の楽しさがありました。結局、分量が3倍になりその分中身も厚みが増して、話の骨格は同じながらなんだか違う作品になった気がしました。とりあえず完成としたのは、聖書を読み込むという営みは終わらないと言えばいつまでも終わらないからで、しかしどこかで切らないときりがないためでした。
もともと出来上がったらちょっとずつブログに載せようと思っていましたが、途中ではたと思い返し、それはいつでもできることだからその前にどこかに応募してみることにしました。自分なりには旧約聖書を概ね概観できるので、確かにかなり特殊なお話ではあるものの、聖書と無縁な一般的日本人にも案外伝わるのではないかと思います。とりあえずもう送ったので、半年は塩漬けです。少し後始末がありますが、いまさら致命的な間違いを見つけても困るし、あとは手を付けずに放っておきます。半年後に冷静な目で見てその先を考えることに致しましょう。ま、或る意味、ずっとやらなくちゃと思っていた仕事を終えたと感じています。