私がいない間にも、家ではいろいろな事が起きているようです。或る日のこと、散歩を終えて兄がりくを家に入れ二階で休んでいると、しばらくしてりくの鳴く声が聞こえたとのこと。猫が庭を通ると時々そういうこともありますが、止まないので「何だろう」と階下に降りて来ました。りくは茶の間にも和室にもおらず、家中を捜してもいません。「家に入れたつもりだったが、外につないだままだったか?」と思い返し、りくの引き綱を確かめるとちゃんとあります。また、カチャンと音がするまで閉めないと、時々勝手口の戸が開いてしまうことがあるのを思い出し、確かめましたがちゃんと閉まっている。りくが消えた・・・
その時、またしてもりくの鳴く声が聞こえましたが、これは外からでした。そう言えばさっき、「あら、この子どうしたのかしら」という通りがかりの人の声がした気がする・・・。あわてて外に出ると、りくはいつものハーネスはつけていますが、綱もなにもない状態で玄関辺りをうろうろしていたとのことでした。おそらく自然に開いた勝手口から外に出たものの、そのうち風か何かで戸が閉まってしまった。もしくは、この方が可能性が高いと思うのですが、りく自身が戸を大きく開けようとして手っこを出し、逆に閉めてしまった、ということなのでしょう。ともかく、どこにも行かなくてよかった! これでどこかに走って行ったら事故に遭っていたかもしれない。引っ込み思案で行動力がないことが身を救うことだってあるのです。確か、学習塾の宣伝で、「YDK、やればできる子」というのがありましたが、りくの場合は、「DIK、どこにも行けない子」です。