2016年5月28日土曜日

「栄養だけじゃない食物摂取」

 栄養や食品についての関心は一段落していたのですが、最近再びこの案件が浮かび上がってきました。まっさらな状態で健康によい食品について考えるなら事は簡単で、あらゆる食品を満遍なくとればよいのですが、年を重ねるとそうもいかず健康上注意すべきことがわかってきます。また最近は、糖質、脂質、タンパク質、ミネラル、ビタミンからなるいわゆる5大栄養素以外にも、第六の食物繊維、そして第七のファイトケミカルについても大いに考慮する必要があります。さらに個人の健康状態によって考えなければならない変数が増えるので、単純には済まないのです。

 たとえば、鉄が不足しがちだからレバーなどを食べるのは、プリン体の多い食品を避けなければいけない人には不正解。やはりひじきやゴマ、小松菜、アーモンド、プルーンあたりから摂るのがよいということになります。またDHAやEPAの多い優良食品として特に青魚がよく知られていますが、これもプリン体の多い食品を避けなければいけない人は考えどころです。まずイワシはあきらめるにしても、カツオもとなると少々つらい。しかしよく調べると、カツオやマグロのような回遊魚は乳酸の分解を促すアンセリンというペプチドを含有し、これによって尿酸の生成を防げるのなら、多少プリン体が多くてもそれを減殺する効果がありそうです。アンセリンは水溶性で熱にも強いというようなことも覚えておく必要があります。食品の持つ有効成分の絡み合いは実に複雑だと感心します。

 ファイトケミカルに関しては、「植物ってえらいなー」の一言です。ほぼ全ての野菜・果物が含有するこの様々な有効成分が、過酷な環境から移動できない身を守るための自己防衛物質であると知れば、「ありがたくいただきます」と手を合わせたくなる気持ちです。ビタミン的にいかにも強そうな緑黄色野菜ばかりでなく、またいかにも薬効成分のありそうなねぎ・にんにく・しょうがのような野菜だけでなく、大根やキャベツといったごく普通に毎日食べる野菜にも必ずあるのがうれしいです。果物はだいたい何でも好きなのでよく食べますが、今回あらためて見直したのはバナナのすごさです。バナナには、白血球の3要素であるマクロファージ、顆粒球、リンパ球を増やす効果があり、またうつ防止に不可欠のセロトニンを生成する原料としての、トリプトファン、ビタミンB6、マグネシウムが同時にとれてしまうという優れた食材です。元気の源と再認識しました。

 さて、どんなに健康にいいとわかっても、食品の取り方を工夫しないとおいしく食べて長続きというわけにはいきません。調理の仕方も大事で、たとえば、にんじん、きゅうり、かぼちゃ、りんごなどに含まれるアスコロビナーゼという酵素は、ビタミンCを酸化すなわち破壊するのですが、酸や熱を加えればその酵素の働きを抑えることができます。それぞれ単体で食べるなら問題ありませんが、ビタミンCの多い野菜と組み合わせてしかも生でたべる場合は工夫が必要です。かぼちゃは普通加熱して食べるしにんじんも加熱する場合はそれでよいのですが、きゅうりやにんじんを生で食べるときは酢と合わせるのがよいことになります。付け合せの紅白なますやきゅうりの三杯酢は理にかなった調理法で、昔の人はすごいなと思います。

 自分なりに調理法を大別しているのは
1、そのまま食べてもおいしいもの(あるいはそのまま食べた方がいいもの)、
2.軽く熱を加えただけの調理で素材の味をそのまま生かしたいもの、
3.そのまま又は加熱して酢でしめるもの、
4.そのままでは食べづらいのでミルサーにかけて粉末にしていただくもの、
5.蒸して又はゆでてつぶして餡状にしておくもの、
6.具材を合わせて普通に炒める又は煮るもの
などで、これら様々なパターンをうまく組み合わせて食事を作っています。

 栄養のことを学んだらすっかり試してみたくなり、しばらくスーパー通いとなりました。今、冷蔵庫や食品保管場所には保存用のパックに入った大量の調理品が並んでいます。実際に食べてみて摂取方法を改善していきたいのですが、人間が一日に食べられる量には限度がありますから、この企画が一段落するにはかなり時間がかかりそうです。