2014年11月14日金曜日

「転院」


 東京に暮らす利点の一つは病院が選べることでしょう。特に病院が集中している場所もあり、細分化された専門診療科をもつ病院がそれぞれ定評のある治療で知られています。病院は施設ももちろん大事ですが、診療に当たる医師はもっと大事です。東日本大震災の時に医者がいなくなったり、避難するため医者を変えなければならなかった人たちはどんなにか心許なかったろうといまさらながら思います。というのは、最近同じような体験をしたからです。

 このたび、私が利用している大学病院の新築移転に伴い、担当医が系列の別の病院に異動することになりました。私も同様に転院することにしたのですが、「予約を取ってから診察に来てください。」と言われていたので電話すると、「初診の電話予約はしていません。」との返事。10月初旬から電話して、いつ診療再開になるか尋ねましたが判然とせず、遅くとも10月下旬にはみえるはずだった担当医がその時期になっても現れませんでした。予定を立てる必要上、「せめて診察の曜日を教えてほしい。」とお願いすると、看護婦の話では「11月には診察が再開される予定ではあるが、まだ確定ではない。従って曜日もわからない。」とのことでした。まだ薬はあったのでよかったのですが、その話を聞いてかなり不安になりました。

 11月になった或る日、電話するのもおっくうで、ネットで病院のホームページを見てみると、なんと担当医の名前が載っており、しかも診察の曜日はまさにその日1日だけでした。その週に福島へ帰省することになっていたので、即決断、病院へ向かいました。一度も乗ったことのない国際興業のバスでしか行けない場所にあり、ちょっと違ったバスに乗るだけでもずいぶん風景がちがうものだなと思いました。その点、私にとってはちょっと不便なところにあるので空いているかなと期待していたのですが、とんでもない混雑でした。私以外にもその医者の診察再開を待っていたと思われる患者がわんさかおり、3時間待ちでした。全て終わって遅い昼食をとり、買い物を済ませて帰ってきたらもう夕方、1日がかりの通院でぐったり疲れました。1つよかったのは、これで来月からの診察がつながったということです。加齢のせいか新しいことに慣れるのは、心理的にも身体的にも大変だと思わされました。