2012年11月29日木曜日
4枚目の絵 「絵画芸術 Die Malkunst」
私は長いこと、この絵のタイトルを「画家のアトリエ」だと思っていましたが、もっと抽象的な絵画のようです。
この絵は生活の一場面や人物の肖像を描いた作品とはかなり違っていますが、なんと美しい絵でしょうか。何一つ欠けたものも余分なものもない完璧な絵です。フェルメールが最期までこの絵を手放さなかった訳がわかる気がします。
この絵はウィーンの美術史美術館 Kunsthistorisches Museum にあるものですが、ここにはブリューゲルの部屋ともいうべき一室があり、「雪中の狩人」「農民の踊り」等の逸品が数多くあります。私はブリューゲルも大好きです。
ウィーンは連れ合いと初めて旅行した場所でした。彼はウィーン生まれで6才までそこで育ったので、子供のころ過ごした家を見に行ったのですが、とても懐かしそうでした。
その集合住宅たるや、私がそれまでに見たこともないだだっ広い螺旋状の内階段とむやみに高い天井を持ち、現代の合理性というものをまったく排したハプスブルク帝国の象徴のような建物でした。
オーストリア人の父と、ドイツ人の母がどこでどうして出会ったのか彼もよく知らないようでしたが、6才の時に家族でドイツに帰化したとのことでした。
ウィーン時代の家は、プラーター Prater まで歩いて行ける距離にあり、よく行って砂遊びをしたこと、いつも帰りたくなくて母を困らせたことを話してくれました。童心に返ってリリプットバーン(子供用の機関車)に乗ったのを思い出します。