2012年11月29日木曜日
5枚目の絵 「窓辺で手紙を読む女 Briefleserin am offenen Fenster」
「真にドイツ的なものはみな旧東ドイツにある」とは、旅先で出会ったドイツ人の言葉です。
真偽はともかく、東西ドイツ統一まもないドレスデンのアルテ・マイスター絵画館 Gemäldegalerie Alte Meister を訪れた時のことです。ここに、「やり手婆」があることは知っていたのですが、ここにあることを知らずに出会ったのがこの「窓辺で手紙を読む女」です。 ぜひとも見たいと思っていた1点で、「この絵はドレスデンにあったのか。」と、思いがけない幸運をとてもうれしく思いました。
私には、この絵と「やり手婆」が同じ作者の手によるものとは思えないのですが、「やり手婆」が大きなキャンバスに描かれたものであるのに対し、こちらはとても小ぶりの絵画です。その落ち着いた色合いは、そこだけ時を止めるほどの静寂に包まれていました。 手紙を手にした女の構図は他にも何点かありますが、私はこの絵が一番好きです。
のちにこの絵を注文したとき、「手紙を読む女の絵で、全体が薄緑色っぽい・・・」と説明すると、電話口の女性は「『窓辺で手紙を読む女』ですね。」と応じましたが、正確なタイトルを知らなかった私は、「あの・・・若い女の人で・・・あ、ドレスデンにある絵です。」と言いました。「そうです、そうです。」と相手の弾んだ声が聞こえ、話がすっとつながったのでした。同じ絵を見たというだけで、これほど親近感が沸くというのも不思議なものです。