今年最初の買い物は自転車でした。機能としてはまだ乗れるので最後まで寿命を全うさせてやりたかったのですが、ブレーキを握るとブブゼラ並みの音が出るようになってしまいました。あちこち油をさしてみましたがどうにも止まず、思い切りブレーキを掛けると自分もびっくりするだけでなく、相手を威嚇するかのような感じなので、ついに買い替えを決意。折しも集合住宅の駐輪場更新の時期が近づいており、シールの張り替えも迫っているのでちょうどよかったと思いました。
寒くて風の強い日、ということは人があまり外出したがらない日に近所の自転車屋さんに出かけました。歩いていけるところで、以前タイヤ交換してもらって以来、鍵やライトの交換でもお世話になったお店です。この店のよいところは働き者で親切な店主がいることです。また後輪のタイヤの交換をした時、「前のタイヤも買えた方がいいですか」と聞くと「前はまだ大丈夫です」と即座に答えたのが印象的でした。普通はどさくさに紛れて両方の交換を勧めるのではないでしょうか。その点、自分の目で判断したことを率直に言えること、商魂逞しくないところに好感が持てます。
「自転車見せて下さい」と言って他に客のいない店内を見て回りましたが、店主は「ああ、どうぞ」といったきりご自分の仕事に没頭しておられたので、まったくフリーに全部見て回れました。こういうところも私の好みの対応です。「26インチのシンプルなタイプ、ただしギアは必須、派手でない色」というターゲットの基準に当てはまるものは5台あり、一応店主に違いを尋ねましたが、あまり大きな違いはないようでした。一度「また来ます」と言って店を出ました。
次に区の不要自転車引き取り所の場所を確かめに出かけ、親切な管理人さんと話して手順と必要書類等をお聞きしました。「この自転車に乗るのも最後だな」と思いつつ、少し離れた量販店も一応偵察。さほどめぼしいものはなく、場所・手間・費用ひっくるめて小売店に軍配が上がることを確認しました。家に帰って必要書類を取り揃え、自転車から様々なギャジット(かごカバーやらハンドルカバーやら雨具の類)を引き剥がしました。駐輪場シールも破れないように剥がして、新しいのをもらうまで取り合えず保存。
あとは今までの手順を逆に辿り、不要自転車引き取り所で自転車をお渡しし、自転車屋に行って新しいのを購入するだけでした。「先ほどはどうも」と言って店内に入ると、「また来ます」と言って本当に来る人は珍しいのか、ちょっと驚かれた様子でした。「以前修理の時、とてもよくしていただいたので…」と雑談をしながら、最後に迷った2つのどちらにするかを決めるため、「どちらが軽いですか」の質問をしました。恐らく人生最後の自転車です。年寄りにとって「軽さは善」ということが身に染みて分かってきました。「メーカーは重量は公表してないんですよ。でもたぶんこっちが少し軽いんじゃないかな」との意外な返事。乗り物を売るのに重量は最も大事なポイントのはずなのに、なぜ非公表? 原材料が一定していないのか? 疑問は湧くがとにかく軽い方を購入、6段ギアでなかなか良さそうです。整備していただいている間に、防犯登録の用紙を書き、二重ロックにするためワイヤー錠もいただいて帰宅しました。まだ十代の時、田舎から持ってきた新品の自転車が盗難に遭ったのがトラウマとなり、中古自転車でいいと思ってきたのですが、こうなったら仕方ありません。うっかり鍵のかけ忘れだけはしないようにと気を引き締めています。