新千歳空港は119cmの積雪で全便欠航、札幌はJR線が全線運休との報道がありました。無理もないと思います。車はもっと無理、命にかかわる危険がありますから、これは一都市が雪で孤立したと言ってよいでしょう。こうなると家でじっとしているより他なく、食料や燃料の買い置きがなければかなり厳しい事態です。
北海道や北陸ほどではありませんが、福島も雪に振り回される冬となり、買い物難民になるのを避けるため、ネットスーパーの再開画面とにらめっこ。東京で注文を済ませておかないと恐くて帰れない、予定が立たない困った状態がずっと続きました。ようやく、道路の雪が消えかけて安心していたまさにこの時、福島も結構な大雪になるらしいとの予報が出ました。まずすぐさましたのは量販店で石油ストーブを買うことでした。これは父の頃から何十年使ったのかという古いストーブの芯がいよいよ出なくなり、芯だけ取り替えようと分解までしたのですが、古すぎて合うものが無い。火事になっては大変だから、あっさり断念し、新しくしたのです。ファンヒーターは2つあるけれど、台所はやっぱり赤々と燃える石油ストーブじゃないと。ストーブでお湯が沸く音を聞くのは雪国の朝の楽しみです。
さて、前日から一日で夕方までに23cmの積雪、夜も断続的に降ったので、上京する日の朝は30cmほど積もっていました。幸い新幹線と駅までの私鉄が動いており、朝6時過ぎに歩きでローカル線の駅に到着。途中、家々の庭先では、雪の中から文字通り車を掘り起こしている光景があちこちで見られました。「新幹線は平常運転かな。山形新幹線は無理だろうな」などと思いながら新幹線口に行くと、案の定というか何やらアナウンス。乗ろうと思っていた「やまびこ」が仙台で車両故障。「次のやまびこは一体何時?」と案じていると、なんと、車両故障の「やまびこ」に福島で連結する予定の山形新幹線「つばさ」が9分遅れで来るという。「つばさ」が東京まで単独行、これは珍しいかも。何しろそれが現時点で最も早い東京行きなので、皆どどっとそちらのホームに移動しました。「つばさ」は自由席が2両しかないので「座れるかな」と思いましたが、福島で降りる人も多く、後でわかったのですが、乗車はほとんどが郡山への通勤客でした。「つばさ」に乗るのは初めてで、「つばさ」は新幹線といっても在来線を走る列車なので、これまであまり乗る気がしなかったのは確かです。しかし乗ってみると、これはなかなかよく考えられた車両だとわかりました。降雪時に走る前提のためか車高が低くコンパクトだが圧迫感がない、なんとなく座席ごとの独立性が高く快適な乗り心地、西側に2席、東側に3席の「やまびこ」と違い両側とも2席ずつで安定感がある、一番驚いたのは車両に1つずつしか乗降用のドアが無い、これも雪対策なのか。一つ困ったのは、普段「やまびこ」10両の後に連結される「つばさ」の自由席は最後の16、17両目。「やまびこ」の自由席は1~5号車あたりで上野の出口に近いが、「つばさ」の自由席からだと果てしなく遠い。それでなくても大変な思いをしている山形からの乗客にこの仕打ちはないでしょう。
ふ~ん、何でも体験してみるもんです。そう言えば、前に確かめもせず発車寸前の「やまびこ」に乗った時、いきなり「次は大宮に止まります」と言われて「そんな列車があるのか」とびっくりしたこともありました。その次の停車駅は東京駅だというので、車掌が来た時に「上野で降りたい」と尋ねたところ、「大宮で反対ホームにトキが3分後に停車しますので、それに乗ってください」とのことでした。上野に止まらない列車は選択の範囲外で、大宮で北陸新幹線に乗り換えるという発送はなかったな、と新たな接続方法に目が覚めました。予定が立たないというのも面白いもので、自由席券で一番早い列車に飛び乗る、というのが冬は合理的なようです。大人の休日倶楽部ならシニアの切符は3割引き、歳をとって良いこともあるのです。