2021年9月22日水曜日

「電子メールの発展的消滅」

  使っていない携帯電話会社の名を騙る偽メールを見つけて、またかと不快な気分になりました。といっても私程度であれば、偽メールは月に2~3通あるかどうかで、あとは心当たりのあるものばかりです。すなわち、宅配関係の注文に関する返信、使用しているプロバイダーやカード会社などからの毎月の請求書等です。しかしだからといって嫌な気分が減じるわけでないのは、偽メールへの対処は一度の失敗でも致命的になり得るからです。また広告欄に前もってチェックの入った注文メールは、うっかりオプトアウトし忘れ、メールマガジン等が配信されるのも腹立たしい限りです。

 他の人はこういうことをどのように処理しているのかと思う時があります。ジャンクメールを上手に仕分けしたり、捨てアドを作っていくつか用途別にアドレスを分けたりしている方は多いことでしょうが、有名人や仕事の関係上アドレスを公開せざるを得ない人は、月に何千、何万というメールを受け取っているのではないでしょうか。SNSをやっている方はなおさらです。開封すべきメールかどうか判断する時間が無駄ですし、大事なメールが迷惑メールフォルダに入ってしまう事態もゼロにはできません。このように、とんでもない数のメールが何カ所かのアドレスに送られてくるとしたら、到底対処できるものではなく、未開封のメールが何万通、何十万通とたまっている場合もあるでしょう。つまり、もう電子メールは機能として半ば死んでいるのです。

 私は基本的に登録されている知人・友人からのメールは必要に応じてテキストを別の記憶媒体に保存していますが、その他でチェックするのは自分がアクションを起こした返信メール(通販の配達予定など)のみです。あとは複数あるパソコンから順次1~3か月ごとに受信メールと迷惑メールを全削除しています。これは災害で所有物を全部失くしたとかパソコンが壊れたと思えば何でもないことで、実にすっきりします。これまでの経験から、以前のメールを探し出してもう一度確認するなどということは金輪際したことがないのですから、全部要らないものなのです。

 ジャンクメールや偽メールに侵食されて電子メールという便利な通信手段が消滅していくのは残念ですが、現状を見ると宿命かもしれないと思います。「○○、急用にて連絡待つ、△△」とか「◇◇、至急家に戻られたし、✗✗」といった短い電報のような機能は残るかもしれません。いっそのこと全部なくなって手紙に戻るとかすれば、どんなにのどかになることでしょう。偽はサクラに通じ、私はもはや「世の中にたえてメールのなかりせば日々の心はのどけからまし」という気分です。