私は元来寒がりで、夏か冬かどちらか選べと言われたら、断然「夏」と答える人間です。暑いのは何とかしのげても、寒いのはかなわないと思っているのです。しかし、今年の冬は記録的な暖冬で、厚着してちょっと動くと汗が出る暖かさです。逆に近年の夏は命の危険を感じるため外には出られない、冷房をかけてじっとしつつ、体調管理をしなければならない酷暑が続いています。
遡れば四半世紀前、初めてヘルベルトが冬に来日することになった時、「日本の冬は寒い?」と聞かれ、私は福島のことを念頭において、「日本の冬はものすごく寒いよ」と答えました。まだヨーロッパの冬を知らなかったからです。その後、体験しての印象は、ドイツは日本よりさらに緯度が高いため、冬はまず晴れずいつも低く雲が垂れ込めている、朝8時でも暗く、午後3時には夕方が始まるということです。結局その年は日和って、少しでも暖かいところにしようと考え、東海地方を中心に旅程を組みました。ヘルベルトが来日してすぐに発した言葉は、「スプリング!」でした。今思うと確かに、東京以西の「日本の冬」は「ヨーロッパの春」なのです。
暦の上では、11月上旬の立冬から2月上旬の立春までが冬ですが、今期はこの期間ずっと「春」を感じる暖かさで、これなら夏か冬かと問われれば、迷わず「冬」と答えたくなります。もう、気候的に言って、日本は四分の三の夏と四分の一の「夏ではない季節」になってしまっているのかもしれません。嫌な予感がしています。東北・北陸でも雪が少なく、農業への影響が心配されています。これから迎える夏を思うとめまいがしそうです。現に今、夏のオーストラリアでは森林火災によりすでに日本の国土の半分に当たる広さを焼失という事態になっており、これも地球にただならぬ影響を与えるでしょう。地球が駄目になる時が一挙に近づきそうで恐いです。