2019年9月26日木曜日

「紅春 144」


 他の犬と比べて、りくの並外れた点は3つあります。厳密には他の犬と比べてはいない項目もあるので、人間と比べてといった方がいいかもしれません。普段何気なく一緒にいても、「これはすごい、人間にもなかなかできないことだ」と感心してしまいます。



1.食欲をコントロールできる
 これは子犬の時から驚くべき事象だと思っていました。どんなにおいしいものでも「もうおなか一杯」となれば、ピタッと食べるのをやめ、惜しげもなくその場を離れます。子どもの頃飼っていた犬はあげればあげるだけ食べており、その後も「もっと、もっと」という感じでしたから、りくの食行動には驚かされました。ですから、まもなく13歳になろうとする今でも、柴犬の名に恥じないすっきりとした雄姿を保っています。

2.未来を想定した行動ができる
 これは前にも書きましたが、りくにとって私は「普段は旅に出ている」群れの仲間なので、私がいなくなることを察知すると他のメンバーに伝えて阻止しようとします。明日起こることがわかるのです。
 また夏には散歩の前に水飲み場に跳んで行って水を飲み。自分で熱中症に備えるという、人間でも忘れがちな行動をとります。父がよく何かにつけ「こんな利口な犬はみたことがない」と言っていましたが、本当にそうなのです。

3.スーパーリアルな行動ができる
 りくは無駄なことをしません。夕食後に兄と散歩に出るりくは、兄が食べ終わって台所で片付けや洗い物をしている間は茶の間でまったりしています。そして終わる頃合いを読み切って兄のもとへ行きます。あわよくば散歩なしで済ませたい兄は「いつも絶妙なタイミングで来る」と嘆いています。
 私がいなくなる時もそうです。「明後日、姉ちゃん東京に帰るから」と言っておくと。最初は空気を抜かれた風船のようにしぼんでいますが、やがて切り換えて、翌日は時間になると帰宅する兄をきちんとお座りして迎えます。前日までは私に引っ付いて、兄が帰ってきても挨拶にも出ず茶の間で寝そべったままだったのに、その晩からは兄にまとわりついて離れません。きっと「明日からは兄ちゃんとの暮らしに戻るから、愛想よくしておかなきゃ」と思うのでしょう。その現金さはもう清々しいほどです。「君子は豹変す」とはなるほど至言です。