りくを連れて買い物に行く時、ブンちゃんの家の裏手を通ります。ブンちゃんは外犬なので小屋に入っている時以外は挨拶ができます。りくより3歳ほど年少なので、子犬として来たばかりの頃はりくがお兄さんでした。でも今はブンちゃんの方が明らかに年長に見えます。冬でも外の小屋で寝るからか、同じ柴犬なのに体毛がふさふさとしており、顔つきも「さすが外犬」といった精悍な表情です。ポワンとした顔のりくはあまり相手にされなくなってきている気がします。
先日りくを外に繋いでおいたところなんだか声がするので行ってみると、子どもが二人来ていました。小学二年生の男の子と女の子で、学童に行く途中でりくを見つけてやってきたとのこと。
「チョコちゃん、いた~」
「えっ」
「チョコちゃんって呼んでたの。名前、何ていうの?」
(むむっ。りくの名前を勝手に…)
「りくだよ。チョコちゃんじゃなくて、りく!」
それから、自分の両手でジャンケンをして、「りく、どっちが勝った?」という子どもにしかわからない遊びをりく相手に試みていました。りくがたまたま顔をどちらかに向けると、「わぁ、当たった」と言って大喜び。りくは子ども好きですが、少々困惑していました。よい子たちでしたが、何かあるといけないので私はずっとついていました。
翌日、なんだか外が騒がしい気がして外を見ると、今度は子どもが3人に増えていました。繰り返しジャンケン遊びをしています。私が出ていくと、私を見るなりりくが「姉ちゃ~ん」と駆け寄ってきました。子ども三人の相手はりくの手に余ったのでしょう。しばらく一緒に遊んでから、「りく、昼寝の時間だから」と子どもたちに言って家に入れました。午後のこの時間はいつも寝ているのです。その日はいっそうぐったりして寝ていました。「りくに外犬は無理だな」とあらためて思った次第です。