2016年11月6日日曜日

「不全感による不善」

 ホームページの管理人をしていて便りがあることはほとんどありませんが、特定の方から時々メールが届きます。日本と韓国にある夥しい数の境界に送信しているとのことで、最初のものは数年前にきましたが、意味不明の上五万字にも及ぶものだったことからその時もそれ以後もほとんど読んでいません。ご本人の言葉では事件を起こして服役されたそうで、印象からするとどうも神に対する逆恨みが強いようです。不幸な生い立ちであったのか、社会的いじめのようなものにあったのか、何があったのかはわかりませんが、神様が自分を不当に苦しめている、自分のすることを妨害しているとの思い込みがあるようです。こういう陰謀論に傾いてしまうと、その観点から解釈できない現状は何一つなくなるので手の付けようがありません。

 そのようなことを続けているうちに、一連の行動を考えるとおそらく心を病まれたのでしょう、最近は一日に百通くらいメールが来るようになりました。初めて迷惑メール対策の機能を使えてなるほどと思いました。自動分類してくれるのでフォルダごと空にするだけのことです。こちらの手間はそれだけですが、、推測するに送信者は家にいる間数分ごとに送信しているらしくお気の毒でなりません。思わず、「サムエル記」でサウル王に神からの悪霊が激しく降る場面を思い起こしてしまいました。あの時はダビデに対する嫉妬、あるいは王の座から追い落されるのではないかとの恐れからダビデを殺そうとするのですが、この方の場合は深い孤独に原因があるのではないかと思います。ただ同じような境遇であっても皆がこのような身の処し方を選択するわけではありません。「小人孤独にして不善をなす」ということです。

 唯一の救いは送信が止む時間があることで、身体をもつ人間には限界があることのよい点です。脳の活動は時空の誓約を越えて可能ですが、生身の人間は食べたり眠ったりしなければなりませんし、仕事やその他の用事をする必要もあるからです。悪霊に支配された何の意味もない行為から解放されるその時間は恵みの時と言うべきです。そういう時間が少しずつ長くとれ、平安を感じる時間が長くなることを願わずにはいられません。まことの神と出会い、深い闇の中に一条の光が差し込む時が与えられますように。