windows 10のサポートが今年の10月14日で終了することは知っていた。windows 11への無料アップグレードの知らせも時々現れたので、そろそろちゃんと考えなければと思っていた。まず適合機種かどうかアプリをダウンロードして調べたところ、家にある機種は残念ながら要件を満たさない機種だと分かった。予感はあったがショックである。windows 11へのアップグレードに不適合なら、パソコンを買い替えねばならないことになり、これは多大な出費を要する。家計泣かせの横暴なOSのグレードアップである。
そもそもなぜwindows 11へ乗り換えなければならないのかと言えば、ざっくり言って以下の機能を備えていないwindows 10のパソコンがあるからなのだ。即ち、「CPUに仮想化という技術に関連する特定の機能があること」、「パソコン本体のファームウェアがセキュアブート機能に対応すること」、「TPM 2.0という高いシステム要件を満たすこと」。これによってゲームパフォーマンスやマルチタスク機能およびセキュリティが向上するらしい。しかし、ゲームも凝った作業もせず、危ないものには近寄らずにパソコンを使用している者にとって、それらの機能が向上したところで無用の長物であり、アップグレードすることに益がない。
もちろんwindows 10のサポートが終了しても、windows 10は使える。実家にある古いパソコンなどはなんとwindows 7であるが、時々開いて確かめると、メールなどはちゃんと受け取れている。サポートの終了後にwindows 10を使い続けることによって生じる問題は、ただ更新プログラムが提供されないということである。セキュリティや不具合を修正するプログラムが受け取れない。それに伴い、パソコン本体および周辺機器やアプリ等を提供している企業が、もうwindows 10には対応しなくなっていくということだろう。
実際、windows 10のサポート終了と時を同じくして、マイクロソフト・オフィス(ワードやエクセルおよびアウトルックclassics)等のサポートも終了する。これらを中心的に使用している身にとってこれは本当に困る。思い返せばwindows 8.1からwindows 10に変わる時、何か嫌な予感がした。それまでのwindowsのサポート期間は「基本5年」+「延長5年」の固定ライフサイクルであった。だから、「まあ10年も使えば買い替えてもいいか」という気になったのである。ところが今は(モダンライフサイクルと言うらしいのだが)、windows 10やwindows 11の中で細かいバージョンアップを繰り返し、それぞれの細かいバージョンごとに短いサポート期間が設定されるようになった。これから先、もはや嫌な予感しかしない。
とはいえ、取り敢えずwindows 11のノートパソコンを手に入れることにした。もちろん新品には手が届かない。中古である。よく整備されているので問題なくすぐ使えたが、使ってみて特に何の感慨もなかった。強いて言えば、ずっと意味の分からなかった画面左側を埋め尽くすタイル状の表示がなくなってせいせいしたというくらいか。私はずっとスクリーンリーダーとしてPC-Talkerを用いてきたが、windows 10のものを読み込ませようとしたらパソコンが受け付けなかった。本格的にwindows 11を使うなら、これもいずれ新たに購入しなければならないだろう。いや、そうこうするうち、windows 12が出るのかもしれない。ああ、なんと無情なことだろう! せめてプリンターをインストールするドライバーが見つかっただけでもよしとするしかないのか。
OSが変われば結局何から何まで買い替えなければならなくなるのだから、全く弱い者いじめである。インターネットの世界における必須の技術はもう行き着くところまで行った感があり、凡人に必要な道具としての機能はこれ以上要らない。企業は無理やりな手法で稼ぐしかない世知辛い時代になったとも言えるだろうが、このままでは多くの一般人を置き去りにすることになるだろう。私の友人も「パソコンの買い替えは大変。もうパソコンは(なくても)いいかなあ」と言っており、完全にスマホに移行しそうな気配である。マイクロソフトよ、ビジネスパーソンはともかく、こんなにも一般人との間の世間を狭くして何とも思わないのか! 初心を思い出してほしい。