ガチャガチャで手に入れるオモチャの中に、「寄り掛かり動物」なるシリーズがあるらしい。私は全く知らなかったのだが、或る人から「お座りした柴犬」の置物をいただいた。それは4cmほどの立方体の中に納まる大きさで、りくを知る方が持ってきてくださったのである。ガチャガチャなら狙ってもこれを当てることはできない。文字通り「有り難く」とてもうれしい。
その可愛さをつくづく眺めた。世の中には頭のいい人がいるものである。これは普通にある動物の置物をわずかに傾けたことで、全く新しい価値を創造している。決して倒れることはないのだが、何かの傍らに置きたくなるのである。もしこれが実物大の大きさなら、私は迷わずそのオブジェの傍らに身を置くだろう。「りく、姉ちゃんに寄り掛かっていいんだよ」と言って。
実際のりくはりりしい立ち姿や、正体もなくごろ寝していた姿がすぐ思い浮かぶ。また、このオブジェのように、てれっとお座りの姿勢を崩していた時には「りく、そのだらしない格好は何ですか」などといっていたのを思い出す。うとうと舟をこいでいた姿は明確に覚えていない。私の隣に引っ付いていたことはよくあったが、寄り掛かっては来なかったな。きっと飼い主に似たのだろう。