つい最近まで、女子バレーはパリ五輪に出場できるかどうか気をもんでいたのに、いつのまにかVNLで銀メダルを獲得して帰国したのにはびっくりしました。福岡ラウンド以外は地上波での放映がなく、ラジオにBSは入らないため、試合をつぶさにフォローできずに残念でした。それにしてもまさかまさかの快進撃、久々にうれしいニュースでした。
男子はどうしたろうと、すぐにネットで見てみると、準決勝スロベニア戦に勝ち、決勝へ進んだことが分かりました。スロベニアはパリ五輪予選で日本がパリ大会への出場を決めた時の因縁の相手で、VNLの予選リーグでは最も勝利率が高かったチームです。この試合は動画配信サイトで一部見ましたが、3-0のストレート勝ちという結果からは想像もできないほどの接戦で、どちらが勝ってもおかしくない試合内容でした。それでも3回続けて勝利を収めたのには何らかの理由があるでしょう。50秒を超えるラリーでの英語の実況中継では、拾って拾って拾いまくるディフェンスの粘りにアナウンサーも大興奮、最後に石川祐希がスパイクを決めた時はほとんど絶叫に近い「ジャパ~ン」コールでした。世界ランク1位のポーランドで行われた決勝だけに、これは日本のバレーが世界を魅了したプレーと言っても過言ではないでしょう。リベロの山本智大はベストリベロ賞を獲得しました。
男子バレーの場合は明らかに、石川祐希という一人の選手が出現したことによって、ここまでの歩みがあったと言えます。学生時代からすでに「日本男子バレー界最高の逸材」と言われ、その後のイタリアリーグでの精進により着実に力をつけてきました。決勝でフランスに敗れた今回のVNLではベストアウトサイドヒッターに選ばれながらも、録画とともに行われたインタヴューでは「悔しい気持ちがまたふつふつとこみあげてきました」と。銀メダルでも浮ついたところが全くないストイックな姿勢には脱帽です。この人のすごいところは言葉と行動の両方でチーム作りができるところでしょう。彼の姿に触発されて、いつのまにか大きな目標を目指してチームが一丸となっている、細かなプレーの端々にお互いへの敬意と信頼がにじみ出るようなチームになっているのです。
バレーが国民的熱狂に彩られていた時から50年以上たって、自分が生きているうちに、バレーボールの黄金時代再来か、と思わせてくれるような時代が訪れるとは思ってなかったな。希望の源となるような人が一人出れば、状況は本当に変わっていくことを教えてもらい、若い人に勇気をもらいました。