このところ読書はもう音声頼みになっている私ですが、聞いていて「どんな漢字かな?」と思ったり、引用部分が古語だったりすると「活字で確かめたいな」と感じることはよくあります。また、自宅の郵便受けに入る様々な書類を必要なものと不要なものに分別するのは案外大変で、以前知らない人からの封筒をしばらく放置し、それが返信を要するものだと分かり、泡を食って返信したことがありました。そんなわけで拡大読書器があれば便利だろうと思い、とりあえず現物が展示されているお店に行きました。
そのような機器を取り揃えている店舗でいろいろ見せていただくと、一口に拡大読書器と言っても様々あり、とくにサイズの点で大変迷いました。その場では決められず、パンフレットをいただいて帰り、検討に入りました。自宅での読書に特化したものであれば、
①メガ・フォーカス:20インチのワイド薄型テレビほどの画面がよいでしょう。しかし、広い家ならともかく、これは置き場に困りそうです。それとは逆に、持ち運び可能という観点を考慮すると、
②クローバー10:10インチ700gという小型のものはとても良さそうです。しかし、当然のことながらやはり画面が小さいので縦書き段組みのレイアウトで一行を上から下まで画面に収めることが難しいようです。さらにこれを拡大して読むとなると、一行に10字程度しか収まらないことになり、読みにくそうです。この製品は台を付けることができ、もう少し俯瞰的に画面に収められそうですが、かえって足台が邪魔になり、本のサイズによっては動かしながら読みたい位置に調整するのが難しいのではないかと思います。その問題をクリアした製品として見つけたのは、
③クローバーブック・ライト:12インチの画面で、背面の台で支えられているため手前に障害物がなく、本を左右に動かしながら楽に読めそうな製品です。重さが2.4kgくらいあるので自宅で使用するものでしょうが、私の場合は別に持ち歩くようなところはないので、これで十分です。A4サイズの書類を丸ごと表示できるというのも大きな魅力です。
ほとんどこれに決めかけ、注文しようとして、ふとこれらを製造しているシステムギアビジョンという会社のホームページを見てみようと思いつきました。すると、「新製品」としてコンパクト10スピーチなるものが掲載されていました。カタログを調べてみると、これは端的に言うと
④コンパクト10スピーチ:②のクローバー10に「読み上げ」機能を付加した製品でした。小型のもので読み上げもできるのはこれだけですから、もう即決。この製品のことは私が訪れた店舗でも知らなかったようなので、製造している会社に電話して取り寄せてもらうことにし、購入することができました。
届いてからしばらくの間は、試行錯誤しながら最適な使い方を開拓していきました。前に述べた②における問題点の克服には数日要しました。読みたいものが新聞のようにその上に機器を置いて滑らせることができる形状ならいいのですが、とりわけ私が詠みたいと思っている大型版の聖書ではそうはいきません。なにしろ分厚いので、2段組みの上と下では読む位置が相当ズレますし、また一行が25文字以上はあるので、これを上下が切れないように画面に収めるのはとても無理そうでした。しかし、ふと閃いて百円ショップでワイヤーネットとそれ用のスタンドを買い、フックで機器を吊り下げてみると、「おっ、これはいい」と直感で思うほど、問題解決にかなり近づきました。分厚い聖書を適切な位置に移動するには、ワイヤーネットの取り付け位置を引き上げ、その下を空洞にしたら、問題の前半部分がクリアでき、また横に移動するのにスタンドの足が邪魔にならぬよう、20cm×60cm位の横長のワイヤーネットに変更したら、見開き聖書のどこの箇所でも申し分なく読めることが分かりました。出来上がってみればとても簡単な装置で、大満足です。
製品が到着してからは、この機器に日々やって来る書類を読ませ、ちゃんと読まねばならない書類を選り分けることができ、とても助かっています。ルビの付いた文や集合住宅の理事会の議事録などのように割り付けの複雑なものをきちんと読ませるのは困難ですが、その時こそ拡大機能を発揮して文字を大きくすればよいのです。正確にでなくとも概要が分かればいいだけなら、読み上げ機能だけでも十分なことも多いです。この製品には③の大きなメリット、「A4サイズの書類を丸ごと表示」機能もあり、保存もできるのでとても重宝しそうです。重さは1kgを少し切るくらいなので、人によっては十分携帯用として使えるでしょう。
最近一番助かったのは、某会社から来た月々の料金明細が紙からウェブに変わったとの知らせで、20ケタ以上ある「初期ログインID」を読み取らせた時です。あれは多分普通の人でも細かすぎて読めないレベルではなかったでしょうか。なんとか某社のホームページからログインでき、ID変更手続き等もできたのでホッとしました。ただでさえ苦手なIT関係の作業を、それでもIT機器の助けがなければできないという時代になってしまったのだなと実感しました。