2023年7月10日月曜日

「デジタル迷惑撃退の日々」

  先日朝5時のラジオを聞いていたら、7月からお中元の配送が始まるそうで、「荷物が多すぎてまだ積み込みが終わらない。いったいいつ出発できるんだろう」との配送員の投稿が読まれました。お中元とは無縁な私は、そのために宅配業者の手を煩わせることはないのですが、「あ、まずいな」と思ったのは、ちょうど無添加の食器洗い液体せっけんの注文時期だったからです。仕方なく某通販サイトを開いて注文しようとしたところ、どうも自分がいつの間にか「プライム体験」とやらに入っていることに気づきました。前に一度気づかずにプライム会員にされてしまい、料金を取られたことを腹立たしく思い出しました。

 今回は一カ月のお試し期間中に気づけて「会員情報を更新し、プライムをキャンセルする」ことができましたが、「プライム会員資格を終了し、特典の利用を止める」に至るまで、私のような気弱な人間は大変な精神的苦痛を強いられました。「やめたい」と言っているのに少なくとも三度「会員資格を継続する」というボタンが並んで登場し、ほとんど脅迫的な力で「どうあってもやめさせないぞ」との意思が伝わってくるようでした。

 しかしこれは逆効果、このような企業精神に基づく商売自体、まっとうな利用者の信頼を失わせるものです。そもそも本人が自覚することなく、即ち「お試し体験に登録します」のボタンを押すことなく、その回路に組み込まれ、気づかずに一カ月過ぎると自動的にプライム会員にされてしまうというのは、私の感覚からすると「詐欺」以外の何物でもありません。このやり方は、オプトアウト(利用者が不承諾の意思を示さない限り、承諾したものとみなす手法)の告知が画面のどこかに記されているにしても、一般利用者の無知(「人の良さ」とも言う)につけこんだ許しがたい手口で、本来あってはならないものではないでしょうか。確かに「プライム会員登録ありがとうございました」とのメールが来ていましたが、本人は加入した自覚が無いのですから、後で調べたら当然の如く迷惑メールに分類されていました。やめた時に「お客様のご希望により、プライムの自動更新設定を解除いたしました」とのメールが来て、やっと安堵しました。

 ところがです。改めて無添加食器洗い液体せっけんを注文しようとして気づいたのは、このプライム会員資格は自動更新設定を解除した後も月末までは保持されるらしく、一般の注文であれば2~3日後に届くところ、「即日配達」となっていました。こちらは余裕をもって注文しているので、配達は3日後で十分なのです。ただでさえ人手不足の配送業界を急がせてどうする。これは注文者の意図を無視した企業の姿勢の問題です。便利さを追求する顧客の欲望につけこんだ、このプライム会員という強引なスキームは、企業の利益だけを追求し、配送に携わる人の心身の疲労を顧みない仕掛けなのではないでしょうか。2024年以降、働き方改革(年間時間外労働時間の上限が960時間に制限される)による大幅なドライバー不足、物流の停滞が確実視されている今、これは巨視的な視点に立った人権への配慮を欠くビジネスモデルだと思います。今回の件では宅配業者さんに本当に申し訳ないことをしました。

 フィッシング対策協議会に寄せられたフィッシング報告件数 (海外含む) は2023 年2月だけで、前月より 2万件以上増加し、59,044 件とのこと、さもありなんという感じです。報告していない件数を含めたらこの数倍から十倍の被害があるはずです。私も一日の中でパソコンに向かう時、まず最初にするのはメールチェックです。迷惑メールをサクサクと処理するのです。以前はいかがわしいメールには触るのも嫌でしたが、そうすると未開封のまま溜まっていくだけでなおさら気分が悪いので闘うことにしたのです。銀行、各種カード類、JR関係、スマホ関係、心当たりのない通販等を片端から「迷惑メール」設定にしていきます。続けていると、最初は一日十数通から数十通来ていた迷惑メールが次第に一桁ほどの数になってきます。同じアドレスから送信しているものは、一度設定した後は自動で捕捉され、迷惑メールに分類されていきます。先月は1か月で905通溜まっていました。月末にフォルダごと空にして終了。

 スマホは基本使っていないので、たまに見ると、数は多くないものの、あらゆる電話番号宛てに送っているのだろうと推測される偽メール・電話の痕跡があります。電話の場合は0120や0800といったフリーダイヤルからのものもあり、即座に削除行動へ移ります。ゴミ箱にポイして「削除すると元に戻せません。削除してよろしいですか」との問いに、「望むところです」と答えてOKを押して終了です。番号非通知や発信元不明の着信は「着信拒否」の設定をしていますが、どうもフリーダイヤルからの着信を一括で着信拒否にはできないようです。きっと利用者無視の業界の取り決めなのでしょう。当初は登録番号以外は「着信拒否」にしようかとも考えましたが、そもそも非常時しか使っていないので「公衆電話」からの着信は残しておくことにしました。

 朝一番に迷惑メールの処理をすると少しの作業で悪者をやっつけた気になり、気持ちが引き締まってきます。「ぼーっとしてちゃいけない、悪者をのさばらせてはならない」と気持ちがしゃきっとする一方、「たやすい手間を駆使して悪者が跋扈する、こんな世界に誰がした」との憤りも募ってきます。こうして私は毎日、デジタル機器に伴うこの世の悪と闘っているのです。