2023年4月18日火曜日

「軽量礼賛」

  歳をとって変わったことの一つに、今まで普通に持っていたものを重いと感じるようになったことがあります。昔愛用していた革の鞄などは重くてもう使えない。機能的にはまだ使えるので残念ですが、私にとっての役目は終えたというべきでしょう。母が以前祖父の家での出来事として、「お煎餅割って」と言う言葉に心の中で「お父さん、ずいぶん面倒くさがりになったな」と思ったそうですが、「自分も年老いてその意味が分かった」という話をしていたのを思い出します。力の衰えは如何ともし難いのです。

 私の場合、最初に気づいたのは携帯用日傘を買い替えた時でした。「軽量」とあったのを選んだら本当に軽かったこと。骨組みはしっかりしていて強風でも差せるので、以来愛用しています。今年初めに自転車を購入する時も、車体を少し持ち上げて自転車ラックに入れる必要から、できるだけ軽いものにしました。

 自転車用ヘルメットの話題を最近よく聞きます。通販サイトを見ると立派なものがたくさん出ているものの、重そうだし、これを商機と見なしてるのか非常に高額なものが多いようです。前回私の選択として書いた、ミドリ安全のインナーキャップのヘルメットは何とたったの60gでとにかく軽い! 帽子の下に入れられて普段と変わらずに外出できる優れものです。送料込みで760円という価格だったので、帰省先用にも注文しました。

 もう一つ最近買い替えたものは、パソコン用のヘッドホンです。長年使ったものは完全に耳を覆うタイプのもので、周囲の音が聞こえないので集中できるのですが、この場合も買い替えに当たってのキーワードは「軽量」です。ヘアバンドみたいに頭にちょっと載せるだけの、一見おもちゃみたいな本体で、コードは5mのものを選びました。パソコン上の文字データを音声で読ませながら家事をするにはこれくらいの長さが必要です。頭への負担を感じることなく、していることを忘れるほどです。これもコードを除く本体部分はたったの60g、「そういえば最近ヘッドホンをしなくなっていたのは、やはり重かったからだな」と納得しました。本当に身体は正直です。

 これからもいろいろな軽量品に乗り換えながら、生活していくことになるだろうと思います。技術は進んでいきますし、老人は爆発的に増えていくのですから、軽量化は必然的流れでしょう。もちろん日頃から貯筋は心がけなければなりませんが、やはり筋力低下のお助け用に、そのうち「お煎餅を割ってくれる」ロボットも開発されることでしょう。