このところ、社会、産業、経済、金融、医療、政治、教育、国際、環境など広範囲にかかわる本を乱読しています。ダチョウは危険が近づくと土に頭を突っ込むと言われていますが、現在自分が置かれている状況の肌感覚と重ねて、ダチョウの気持ちが分かる気がします。以前は自分が生きている間にそこまで破滅的なことは起きないだろうと高を括っていたのですが、今はそう思えなくなりました。強欲資本主義が跋扈している世界の荒廃は著しく、奴隷状態に置かれる人々の経済はとっくに破綻しています。「地球の寿命は資本主義の寿命ほど長くはなさそうだ」という学者もあり、そうなっても不思議はないと納得します。
どの地域の、あるいはどの分野で崩壊が始まろうと、瞬く間に世界に波及する災厄になるでしょうが、それとは別に日本は固有の巨大な困難をいくつも抱えています。私は市井の心ある方々がそれぞれの場でその破れを繕うために懸命に尽力されていることを知らされ、その働きを多とするものです。しかし、全体を見渡して国が整えなければならない案件の多くが長年にわたって破綻状態であるのに、それがほぼ全て「よくぞここまでその場しのぎの姑息な対応で問題を先送りしてきたものだ」という現状であることに暗澹たる思いです。ここまで来るとどんなに優れた人材が取り組んでも問題解決は無理だろうと思わされます。それに、現在の政治家は強欲資本主義者に雇われてその意図通りに政(まつりごと)を行い、私腹を肥やしているに過ぎないのですから、悪い方向に変更されることはあってもよい方向への改革とならないのは明らかです。
それでは一般庶民にできることはないのかと言うと、ほぼ無いのですが、「あんたらの思い通りには動かない」と決心することはできます。具体的には、①「本当のこと、まっとうなことを言っているのは誰か」を見抜くこと、②騙しの言葉を吐く人に対し、「こういうことを述べることによって、この人は何をしようとしているのか」を見抜くこと、③流行に乗らないこと、④できる限りデジタルから遠ざかること、⑤メディアやSNSを信じないこと、あるいはそこで語られていないことを見抜くこと、⑥外部からの働きかけに対しては何事も遅め遅めに対応すること、⑦学びをやめないこと、などでしょう。時速60キロで走れるダチョウは危険に際し頭を土に突っ込んでいるのではありません。体を伏せて首を土に擦り付けて状況を把握しているのです。富裕層と違い時速60キロで海外に逃げることができない庶民でも、そのくらいのことはできるはずです。