久々に早朝公園に行くことができました。行ってみてびっくりしたのはピクニックスペースに家庭用テントが4張りあったことです。時間的にいって前夜から泊まり込んでいたものと見られ、家で寝るより5℃くらいは涼しかっただろうと想像して、ちょっとうらやましい感じでした。おそらく何らかの届けが必要で、藪蚊もいるでしょうし、傍から見るほど快適ではないかもしれませんが、連休中の近場の楽しみとしてはありかも知れません。
日本では猛暑や大雨による水害等の報道がありましたが、ヨーロッパも猛暑とのことでスペインで山火事が起きたり、イギリスで40℃越え予報の非常事態宣言が出されたとのニュースがありました。この時期のイギリスが本来最も気持ちよく過ごせる気候であることを思えば、この暑さは日本以上に堪えるのではないでしょうか。
最近「人新世」という言葉を初めて聞きました。どうも地質学において「現代」を指す非公式な分類のようで、人間が地球の地質や生態系に与えた影響について語る時に用いられる用語です。
その前の1万年以上続いた時代を「完新世」と呼ぶらしいのですが、その後人類の時代に降り積もった物質として、新たに多数の新化合物、人工肥料の成分、放射性物質、プラスチック、果ては品種改良して大いに食べた鶏の骨に至るまで、前代とは違う地層が分厚く堆積しているのでありましょう。数年前に人間の体自体の変容を指摘して世界に衝撃を与えた『サピエンス異変』と同様かそれ以上に、地球は回復できないダメージを負っているのです。科学者の研究によれば、人間が地球にかけ続けた負荷はすでにプラネタリー・バウンダリーを超えているとのことですから、もはや不可逆的な変化が起こっていると言ってよい状況にあるのではないでしょうか。
この期に及んでSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)というものが2015年に出されましたが、遅すぎたし、まだ「開発」にこだわっているところが暢気すぎると思います。そしてそれ以上に、このたび初めて17の目標を読んで驚いたのですが、環境も人も社会も何もかもごちゃまぜのまま、絶対に15年間では達成できない事項を平然と掲げていることに呆れました。17の目標とは以下の通りです。
1.貧困をなくそう (英: No Poverty)
「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」
2.飢餓をゼロに (英: Zero Hunger)
「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」
3.すべての人に健康と福祉を (英: Good Health and Well-Being)
「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」
4.質の高い教育をみんなに (英: Quality Education)
「すべての人々へ包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」
5.ジェンダー平等を実現しよう (英: Gender Equality)
「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」
6.安全な水とトイレを世界中に (英: Clean Water and Sanitation)
「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」
7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに (英: Affordable and Clean Energy)
「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」
8.働きがいも経済成長も (英: Decent Work and Economic Growth)
「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する」
9.産業と技術革新の基盤をつくろう (英: Industry, Innovation and Infrastructure)
「強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及び技術革新の推進を図る」
10.人や国の不平等をなくそう (英: Reduced Inequalities)
「各国内及び各国間の不平等を是正する」
11.住み続けられるまちづくりを (英: Sustainable Cities and Communities)
「包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市及び人間居住を実現する」
12.つくる責任 つかう責任 (英: Responsible Consumption and Production)
「持続可能な生産消費形態を確保する」
13.気候変動に具体的な対策を (英: Climate Action)
「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」
14.海の豊かさを守ろう (英: Life Below Water)
「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」
15.陸の豊かさも守ろう (英: Life on Land)
「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」
16.平和と公正をすべての人に (英: Peace, Justice and Strong Institutions)
「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」
17.パートナーシップで目標を達成しよう (英: Partnerships for the Goals)
「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」
これを2030年までに達成すべきとしているのですから、ここはグレタさんでなくても怒るべきところでしょう。少なくとも私はひとこと、「壮大なまやかし」だと気持ちが萎えました。この目標は「こんなことなら言わない方がまし」という類の不誠実なものだと思います。誰も反対できないような現実離れした正論を吐くだけで、問題が解決するわけがありません。こういうことを言い出す人を私は懐疑的なまなざしで見ることにしています。そのかわり自分でできる小さなこと、例えば「家庭からフードロスを出さない」、「洗い物はこまめに手洗いして洗濯回数を減らす(水と電気の節約」、「物を大事に使う」などを地道に実行するしかないなと思います。
いま到着を待っている家電があります。「切」のボタンを押しても羽根が回り続ける扇風機を買い替えることにしたのです。タイマーでゼロのところにつまみを合わせると一応切れるのですが、危険な気がするし、なにしろ購入して30年の年季ものですから、これは許されるでしょう。悩んだ末、日本の中小企業が作っているちょっと面白そうな製品にしました。たかが扇風機といえど、今はサーキュレーターが付いていたり、リモコンが標準装備だったりするのかと、浦島太郎の気分です。