りくには悪いことをしました。せっかく誕生日に合わせて帰省したのに、その日は新しい冷蔵庫の来る前日。極力中を空にしなければならないため今回はスーパーの配達便も頼めず、ドッグフードのトッピングには東京から凍らせて持ってきた鶏肉と缶詰、チーズくらいしかありません。誕生祝いは冷蔵庫が来てからすることにして、当日の朝はいつもの「おはよう」の挨拶に加え、「りく、15歳おめでとう」と言って、ぎゅうっと抱きしめました。
その後の三日間は旧製品のお掃除、台所の片づけと搬入経路の確保、新製品搬入後の家具、物品の配置などに追われてりくの相手はあまりできず、りくは外に置かれていました。ようやく一段落してりくの様子を見に行くと、長いワイヤーに繋がれたりくが向こうからピョンピョンと跳んでくるではありませんか。久しぶりに見る疾走する姿に、「まだこんなことができたのか」と胸が熱くなりました。ずっと外にいたので外界の様々な刺激を受けたのがよかったのかも知れません。家の中でも、弟くんたちをブンブン振り回しては飛ばして追いかけるという活発な動きを見せ、ちょっとびっくりするくらいの元気さでした。もちろんお誕生祝いのご飯は二種のお肉ほかたっぷりのトッピングで、一心不乱に食べて完食、16歳に向かって新しい一年の始まりは、なんだか希望に満ちています。