2020年12月17日木曜日

「移動の緩急生活」

  東京―福島の往復生活を始めて8年以上になります。移動自体は交通機関が整っているので問題ないのですが、乗っているだけで疲れる気がするのは移動先が互いに異空間のせいだと思います。まるでトンネルを抜けて異界へと行き来するようなものなのです。これに慣れるため、少なくとも移動日は全日つぶれます。

 福島では、夏は雑草や藪蚊と闘い、冬は吾妻おろしと雪に立ち向かう生活です。以前は食料や日用品の買い出しも大変でしたが、もうこれはほぼネットスーパー頼みのズルをしています。りくも散歩をせがんでくるので構ってやらなければなりません。感覚的には1週間福島で過ごすと、3週間は東京で休まないと体がもたない感じです。

 しかし一方で、往復生活に心地よさも感じるのです。頬に刺すような寒風を受けて進まない自転車をこぐ時、いつ果てるとも知れぬ雪掻きに没頭する時、また、りくの散歩に付き合ってひたすら歩いたり、リュックを背負ってりくと買い物に出る時、体の中の野性が目覚めるのです。ここで暮らすのは無理でも、この厳しい自然が自分を育んできたのをまざまざと感じます。特に冬は、「風よ吹け~、雪よ降れ~、吹雪よ荒れ狂え~」と、もうどんなに荒れても気にならなくなります。人間は自然の力にはかなわないのです。人間の卑小さを思い知らされるのは小気味よくもあります。今年はすでに大雪の気配、気合を入れて帰省しなければ。