2020年12月13日日曜日

「歯科治療」

  春先にとれた奥歯の詰め物の治療をやっと始めたのが秋口でした。髪の手入れは美容院から手渡しされたマスクをしたままできても、さすがに歯の手入れはマスク着用ではできません。感染症はもうそろそろいいかなと、行ったことのない初めての歯医者さんに行ってみました。歯科医を変えた理由は特にないのですが、同様にこだわりもないので、新しいところを試してみることにしたのです。帰りに買い物や所用をするのによい位置にあることも、一つの要因です。歯科治療が好きな人はいないでしょうが、医療全般に言えるのは治療後は自分にご褒美をあげたくなることでしょうか。

 今度の歯科医の第一印象は「ずいぶん若い人だな」というものでしたが、とても腕はよいという気がします。レントゲン画像から、悪いところを数か所説明してくれ、一つ一つ治療していきます。最近の歯科医療のテクノロジーの進歩は目覚ましいものがあり、とても便利に改良されているようです。こういう技術革新にキャッチアップするには、若いことはむしろアドバンテージなのかもしれません。歯科医が治療痕を見れば、これまで受けた治療やそれを施した治療者の腕前が一目瞭然に違いありません。それまでの治療が今後に影響を及ぼす時は、説明を受け、今後長持ちする治療へと変更されます。

 通い始めて三カ月以上たちますが、一度も痛かったことがなく、型を取った詰め物も一度で驚くほど問題なくぴったりと収まっています。このあたりも勝手な想像ですが、昔は歯科技工士の職人技だったものが、今ではAIの技術に取って代わられつつあるのかもしれません。これはこれで大きな問題だなと考えてしまいます。まだまだ治療が終わらないのは、型どりした詰め物ができるのに2週間ほどかかるのと、福島への帰省が重なって治療が先に延びるからです。

 思い返せば、これまでは歯医者通いが終わると歯の手入れに手抜きが生じていました。でも、何といっても自分の歯で噛んで食べることは「生きる」ことの基本ですから、今回こそは歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスによる手入れも続けようと決意しています。八十代でも入れ歯なし、全部自分の歯といううらやましい方もいますが、これまでサボってきた私としては今からでもできることを地道にやっていくしかありません。あまり目新しい治療はするつもりがありません。別の方面から聞いた話では、インプラントにした人が認知症になってしまうと、入れ歯のように外せないで、介護の場では自分を傷つけてしまうような大変な事例もあるようです。どんな分野にも言えますが、テクノロジーの発展の功罪を検討するには少なくとも一世代の時間が必要です。