正月明けは忙しく、予約していた病院の待合室は、私が終わる頃にはベンチに空きがないほど混んでいました。当然ご高齢の方が多く、世にはこれほど病に苦しむ人がいるのかと思わされました。帰りのバスで途中から会社員と思われる若者三人が乗り込んできて、そのうちの一人が後部座席に向かうステップのところに立ちました。あとの二人はステップを上りきった場所で、かつ肩掛けバッグだったからよかったのですが、ステップのところの人はリュックを背負っているので、さほど混んだ車内でもないのに人が通るたびにぶつかっています。自分の立っている位置のまずさに普通気づくだろうと思うのですが、そんな気配はありません。だんだん気鬱になったのは、「この人、仕事上でもたいへんだろうな」と思ったからです。これほど自分の立ち位置がマッピングできていないとすると、悪気はなくとも万事うまくいかないだろうと思います。世の中に揉まれて経験を重ねないとわからない部分もありましょうが、ほんの少し観点を変えてみるだけで大きく開けてくる視野もあるはずです。
それから数日後のことですが、提出書類が揃ったので確定申告に行って来ました。二月になると混むのでいつもこの時期に済ませているのです。自宅のパソコンからでもできるはずですが、わからないことがあった時すぐ訊けるようにいつも税務署に出向いています。今回の担当者は若い方でしたが、「源泉徴収票がないので還付はありませんが・・・」と怪訝そうな顔をしています。そんなことを言われたのは初めてでしたが、それはわかりきったことです。還付を求めて来ているわけではなく、これをしておかないと来年度の医療関係の書類が取れないのです。しかし考えてみれば、若くて健康な方には課税証明書がないと治療に必要な書類が整わないなどということは頭に浮かばないのでしょう。普通の人ならそれでよいのですが、税金のプロたる税務署の職員がこれでは困ります。国税という観点からだけでもよいので全体を見渡す力を培っていただきたいと思います。
若い方に対する私の印象は一般的にすこぶる良いのですが、時々普段身を置いている仲間や組織の外側にも意識を及ぼして、その中で自分を俯瞰できるともっと良いだろうなと感じます。たまにでよいので試してみてください。期待しています。何といっても日本の将来はあなた方にかかっているのですから。