2022年11月18日金曜日

「余裕ゼロの社会へ」

  いつも突然思い立つ性分ですが、少しずつ今年の大掃除に着手しようと、先日はガスレンジ回りのお掃除を終えました。3口ガスコンロカバーの最後の1枚を使い切ったので、来年のために買い置きしようと、大手の二大スーパーに出かけました。ところが前回買ったはずなのにどちらの店にもない。たぶんホームセンターにはあるのでしょうが、近くにないため仕方なく通販で注文することに・・・。これがなかなか見つからず、あってもむやみに高額だったり、送料が同じくらいかかるなど選択に難航しましたが、ようやく折り合える価格の3枚入りの商品を見つけて注文しました。レヴューを見ると、「うちのは20年前のガスレンジなので」とか「近くのスーパーにないので助かります」などのコメントが・・・。私と同じような境遇の人たちはやはり困ってたんだなということが分かりました。スーパーの売り場にはおのずと限界があり、買い手の需要も多様化しているので、3口ガスコンロカバーという、常時売れるわけではない商品を置く余裕がなくなったのでしょう。このケースではIHクッキングヒーター(火災の心配は低いが電磁波の影響があるともいう)の家が増えたためかもしれません。そのため、この何の変哲もないはずの商品が馬鹿げた大きさの段ボールに入って配送されるという事態になりました。

 配送に関しても最近は思うところがあります。配送業のプロではなく、明らかに素人と思われる(大抵は非常に若い)人によって配達されることが増えています。人手が足りないのと、素人がアルバイト感覚で配達に参入(使ったことはないがウーバーイーツなど)することが一般化したためでしょう。これがひどい。プロの方はインターフォンで挨拶し、集合扉を開けると個別住戸の前まで持って来てくれ、こちらもドアを開けて御礼を言って受け取るという、安定したパターンを辿りますが、アマチュアの場合は、こちらがインターフォンに答える間もなく呼び出しが切れてしまい(わざとかも知れない、上まで運ぶ手間が省けるから)、下の宅配ボックスまで取りに行かなければならなかったり、インターフォンに応答してロビーの扉を開けて待っていても家の玄関に現れず、さすがにおかしいと階下に見に行こうとして、同じ階の別の住戸の玄関先に置かれているのを発見したこともあります。全く訓練を受けていないのです。

 先日、通院が早く終わった後に珍しくカフェに入ったところ、驚いたことにウェイターが一人しかいませんでした。しかもどう見ても十代としか思えない若い人でした。おしぼりと水が出てくるまでに5分、メニューをもらうまでにさらに5分、注文をして待っていましたが1時間近くたっても饗応が無い。呼んで「オーダー入ってますか」と聞きましたがうんともすんともなく、確認しに行ったまま戻って来ない。名前は控えますが、この店はどこにでもあるチェーン店などではなく、れっきとしたコーヒー店で、落ち着いた雰囲気の店です。あまりに不可解な状況でどうしたものかと困惑しました。そのうちどうやらシフトが変わったらしく、先ほどのウェイターはいなくなり、少し年長(といっても二十代前半くらい)のウェイトレスがフロアを行き来するようになりました。すぐに呼んでこれまでの事情を話し、調理に入っているなら頂くが、入っていないならキャンセルする旨を伝えたところ、やはりオーダーは入っていませんでした。ウェイトレスさんは平誤りでしたので、それ以上は言わずそのまま店を出ました。

 店を出てまず「爆発せずによく頑張った」と自分を褒めましたよ。不愉快には違いありませんが、カフェの雰囲気を楽しめたことを良しとし、それからあの少年について考えました。店に出られるレベルでなかったのは確かです。オーダーを入れ忘れたのならそう言ってくれればよいだけだったのです。失敗は誰にでもあることですし、そうやって学んでいくのですから。これまでに失敗して叱られ、大変な経験をしたため恐くて言えなかったのかもしれません。残念なことです。あのようなカフェでもちゃんとした接客教育ができていないということをまざまざと知らされ、人で不足を身近に感じました。とにかく、あらゆる面で社会に余裕がなくなっています。そしてそのことにより悪いサイクルが形成され、日ごとに加速しているようです。悪循環が解消される見込みはないことを思うと、このような社会の余裕の無さに人間がどこまで耐えうるか心配です。気が重いことです。