食べ物の産地は今ではもう一般消費者にはほとんどわからなくなっているのではないでしょうか。某国のものだけは避けたいと思っていても、野菜などは輸入されてほんのちょっと手を入れられればおそらくその土地のもの(国産)として流通するのです。国税庁が日本酒のブランド力をあげるため、国産の米や水を原料に日本国内で製造された清酒だけを「日本酒」として販売できるよう「酒類業組合法」を改正する提案したことが最近ニュースになりました。「世界貿易機関(WTO)協定に基づき、産地名を商品名に使用する『地理的表示制度』を適用する」という本格的な構想らしいのですが、その時ついでに出た話で現在ワインは輸入果汁に砂糖を加えて発酵させたものでも国産ワインと表示されることに驚いた方もいるでしょう。或る食品が本当はどこで作られたのかはほとんどわからないことが多い。そしてそれが分からない限り、食の安全性は担保されないのです。申し訳ないけれど、かの国に近い(ということは輸入の運搬費用が削減できるという点でコストカット可能な)西日本のものの安全性は実は全く信頼できないと私は思っています。
最近知って驚いたのは、輸入される野菜の検査で実施されるのは、重金属汚染に関しては、トマト、キュウリ、ホウレンソウ、馬鈴薯、コメに関してのみだということです。加工品や畜産物に関してはまったくチェックがないと聞いたときは唖然とするほかありませんでした。(まあ逆にいうと、これら5つの野菜については重金属汚染の心配はないということになるのでしょうか。重金属といっても鉛やカドミウム、水銀、ヒ素といった正真正銘の毒物 だけですが。) その他の汚染についてどのような検査がなされているのか私は詳しく知りませんが、知ったところで全般的な国の食料自給体制を考えれば、輸入品に関して万全な検査であるわけがないと思っています。
社会のグローバル化が急速に進んでおり、また食品のモジュール化がすすんでいるので、もうどこかの国の食品をはずしてたべるわけにはいかないようです。今は部品を組み合わせて工業生産物を作るように食品が作られているのです。加工品ならそれが最も効率的、経済的であり、なおかつ味は絶妙にうまいのでなおさらやっかいです。単体ならば大丈夫かと思い先日干物を手にしてみたら、小田原の干物が確かに可耕地は小田原であるものの本体のアジは原産国オランダと書いてあったりします。食料自給率の低い国では特に食の安全を守ることは困難でしょう。ならばせめて、というわけでもありませんが最近パンはほぼ自分で焼いています。パンに使う強力粉として最もよく流通しているメーカーのものは、川崎工場と書いてありますが、原材料がどこのものであるかはわかりません。これだけは産地のわかっているものを通販で取り寄せた方がいいだろうかと真剣に考えています。